たまに「ひと言」つぶやいたりして・・・
2026/7/31のひとこと
昨日、映画『ヌーヴェルヴァーグ』【リチャード・リンクレイター 監督・2026日本公開】を見てきた。
映画の歴史を変えた『勝手にしやがれ』【ジャン=リュック・ゴダール 監督・1960日本公開】の映画製作の舞台裏の話だ。
映画製作の舞台裏を描いた映画は『映画に愛をこめて アメリカの夜』【フランソワ・トリュフォー 監督・1974日本公開】や『8 1/2』【フェデリコ・フェリーニ 監督・1965日本公開】もそうである。邦画では『蒲田行進曲』【深作欣二 監督・1982公開】なんてのも‼
映画撮影を「生業(なりわい)」としている僕らにとって、現実的地平であり、今昔含めて苦楽入り乱れる興奮と葛藤の世界の話なんです。
ちょっと冗談ぽく言いますが、真面目に働いている「堅気(カタギ)」の皆様には申し訳なく思うほど「社会不適合者」の集まりです。
「常に精神崩壊気味の監督」「浮遊感と軽薄さを武器とする俳優」「どこか不機嫌な女優」「違う世界線にいるメイク・衣裳部」「最後は飯の話しかしない照明部」などなど。
まあ、一年中「文化祭」をやっているようなもんなんです。準備は大変、始まるとワチャワチャ、祭りのあとは寂しいもんです。
とにかく「社会不適合者・クズ・底辺労働者」など最低な言葉たちがどこか好きな人々の話が好きです。「アウトロー・普通でない」・・・変な感情である。
映画『勝手にしやがれ』のラストシーンが好きだ!
「本当に最低だ」「最低ってなに?」
2026/7/27のひとこと
【とある映画の話】~ツレヅレな備忘録
第七話 『アイネクライネナハトムジーク』② 〔今泉力哉 監督・2019年公開〕
この映画は群像劇である。
主要登場人物だけで「佐藤と紗季」「織田家」「ウィンストン小野と美奈子」「藤間家」「久留米家」そして「その周りの人々」・・・なんと17人以上‼ それぞれが悩み、葛藤し微妙な繋がりの中で生きている。
いわゆる『グランドホテル形式』(仙台という街の人々)と呼ばれる群像劇映画は『ラブ・アクチュアリー』【リチャード・カーティス 監督・2004日本公開】の様に「キャラクターをしっかり見せる」これにつきます。表情(感情)が見えることが大事です。
昔ながらのライティング技法で「キャッチ」と呼ばれるものがあります。
「瞳の中にライトを写し、強弱や視線の位置で感情の機微を表現します」まあ、俳優さんのお芝居のサポートです。
素敵なシーンがあります。佐藤が帰宅すると部屋に灯りが!中には食事の準備をしている紗季。シナリオでは佐藤「・・ただいま」紗季「・・おかえり」
しかし本番では今泉監督がカットをかけないでいると・・佐藤「・・ただいま」紗季「・・おかえり」佐藤「おかえり。」紗季「ただいま。」
カメラ横で見ているスタッフはほっこり‼素敵です。役得です‼
最後に彼の話を!『三浦春馬』さん。
撮影期間中、一度東京に戻っていた春馬くんはとある映画の先行試写を見てくれて、その映画の僕の照明に「あのシーンの照明って○○ですよね!」「おお!よく気づいてくれたね」「もちろんですよ!」「・・・。(なんていい奴)」
本当に気持ちのいい人でした。
2020年ご逝去 享年30歳 今年七回忌とのこと・・・合掌
2026/7/24のひとこと
【とある映画の話】~ツレヅレな備忘録
第七話 『アイネクライネナハトムジーク』① 〔今泉力哉 監督・2019年公開〕
「アイネクライネナハトムジーク」・・・呪文のような言葉である。
ドイツ語で「小さな夜の音楽」という意味です。モーツァルトのセレナーデの曲名でもあります。セレナーデ・・「小夜曲」とも呼ばれる言葉。
何かゴッホの「星月夜」みたいで映画のルックをゴッホの絵画のように勝手にイメージを寄せてました。「出会いの仙台駅ペデストリアンデッキ」をゴッホの「夜のカフェテリア」のように印象的にY・OR色を使って物語の導入として世界観を意識的に作りました。
市井の人々の群像劇、あまりリアルから離れない程度に少しファンタジックに「小さな夜の物語」になればと!宮城県・仙台の街をゴッホフィルターで脳内変換‼
とにかくこの映画、ロケ場所が盛りだくさん!登場人物たちの家はもちろん・駅前・工事現場・飲み屋・会社・美容室・学校・デパート・バスの中・地下駐輪場・TV局・なんとボクシング世界ヘビー級タイトルマッチのリング会場‼・・・毎日が大変!でももう楽しむことしか考えません。
絵本を1ページ1ページめくるようにシーンシーンを色づけていきました。
とにかくスタッフ・キャストはこの「小さな夜の音楽」映画を楽しみましたとさ‼
映画『アイネクライネナハトムジーク』 予告編
2026/7/21のひとこと
【とある映画の話】~ツレヅレな備忘録
第六話 『ハナレイ・ベイ』② 〔松永大司 監督・2018年公開〕
もちろん、英語はダメです・・・。
基本的に海外での撮影は技師一人で行って現地スタッフとのお仕事になります。
コミュ障気味の僕の中学英語レベルでは「ディスプレイス・・ハイポジション・・ライトサイド、カット」・・・。もちろん通訳はいますが各部署兼用なのでいないことがよくあります。苦肉の策でへたくそな絵を描いて説明します。意外と通じます。あとは「アイム、トムクルーズ!」何てジョークを言えばバッチリです。
いざ!ハワイへ!オアフ島でご紹介いただいたガファーのジェイムス‼・・・日本語ペラペラでした!さすがワイハー‼
オアフ島は問題無いのですがカウアイ島は、ジェイムス曰く「たぶん何もないよ!照明機材は飛行機は無理だから船便かなぁ」プロデューサー「さすがに船便は時間も予算も・・・」「・・・ノーライトってこと?」「・・・。」
なんと機材屋ありました。数年前あの『ジュラシック・ワールド』【2015年日本公開】の撮影隊が置いて行ったんだと‼(※船便でLAに戻すよりも安価で地元民に売ったそうな)さすがハリウッド‼
カウアイ島ではマイクとジェフリー親子が就いてくれました。たまに段取りでもめてます。父と子の関係性は世界共通です(笑)。
大自然のアイランド‼『ジュラシック・ワールド』の世界がそこにありました。
2026/7/15のひとこと
【とある映画の話】~ツレヅレな備忘録
第六話 『ハナレイ・ベイ』① 〔松永大司 監督・2018年公開〕
「風に色をつけようと思うんです」・・・何て抒情的な言い回しをしてしまった。
映画『ハナレイ・ベイ』のシナリオを読んだ時、とあるシーンで「ハワイ・カウアイ島」の風を感じる表現をしたいと思い、「日本のサチ(主人公・母)の部屋の中に風が吹き込む・・・風に色をつけようと思うんですが・・」と提案してみた。
松永監督は快く了解してくれました。
市井の庶民ですからハワイなんて茨城県の施設しか知りません。ハワイの空・海を思い浮かべて「Ocean Blue/Summer Blue/Peacock Blue」という3色をテーマカラー(カウアイ島の風の色)としました。
撮影あるあるですが、日本ロケは先にまとめて撮ってしまいます。
「サチ(母)が亡き息子のカセットテープを見つけ~」
良い表情・良いシーンが撮れました‼
そして少数精鋭スタッフ(照明部は技師のみ)で、いざ!ハワイ・カウアイ島へ‼
オアフ島を経てカウアイ島のハナレイ湾に立った時、僕は海からくる彩色の風に包まれていた‼
映画『ハナレイ・ベイ』 予告編
2026/7/14のひとこと
【とある映画の話】~ツレヅレな備忘録
第五話 『赤い雪 Red Snow』② 〔甲斐さやか 監督・2019年公開〕
ロケ場所を探すことは大事です。シナリオのイメージを具現化する・・・。
もちろん「雪」の話です。しかし諸々の事情でクランクインは三月中旬!・・・雪を求めて日本有数の豪雪地帯、山形は肘折温泉!そして新庄へ!
幼少期の主人公がトラウマになる情景がこの映画の核です。そこはとあるアパート。少年はそこで何を「見」、そして何を「忘れたか」。
いろんなアパートをロケハンしました。まあ、ロケハンとは「一長一短」です、何を優先するかです。監督とスタッフは苦悶していきます。
雪国の街の一角、ある光景に目が止まりました。九州生まれの僕には馴染みのない「ある設備」。アパートの前では雪を溶かす「消雪パイプ」で水溜りができていました・・・。
「赤茶色の濁った水溜り」・・・これだ‼「白い雪と赤い水」・・・『赤い雪』だ‼
僕「ワイエスだね」甲斐監督「これですね!」・・・見つけました‼
2026/7/9のひとこと
【とある映画の話】~ツレヅレな備忘録
第五話 『赤い雪 Red Snow』① 〔甲斐さやか 監督・2019年公開〕
先日まで『アンドリュー・ワイエス展』をやっていた。この画家を知ったのはとある映画の「画のルック」を考えている時、監督が見せてくれた一枚の絵でした。
映画『赤い雪 Red Snow』の時である。
甲斐監督は自身でシナリオを書き、そして監督もする昨今数少ないオリジナル作品を撮ってる映画監督です。だからこそ「イメージ画」を書いて見せてくれます。
僕らスタッフはそこから感じる「何か」を映像に落とし込む・・・技術屋(表現者・職人)なんです。
まず、シナリオの初読感から感じるイメージを大事にします、「ヒッチコック映画」にある上品さ(特にモノクロ時代の)・・・「モノクロで撮ります?」何て言ったらプロデューサーに怒られそうで・・・。そんな時、甲斐監督が一枚の絵画を見せてくれました。
「アンドリュー・ワイエス『クリスティーナの世界』」
「・・・‼これだ!」ストンと何か腑に落ちたんです。この寂寥感漂う茶褐色の空気。どこかにテーマカラーとして「赤」を生かせればと思っていた僕はこの「寂寥感漂う雪国の陰鬱な世界」に囚われたのです。
映画『赤い雪 Red Snow』 予告編
2026/7/6のひとこと
【とある映画の話】~ツレヅレな備忘録
第四話 『ネコナデ』② 〔大森美香 監督・2008年公開〕
♬なんて素敵な話だろう♫ そんな歌が流れるエンディング。
この映画には素敵な後日談があります。
俳優『大杉漣』さん。「日本映画の至宝の一人」「名作に漣さんあり」助手時代も含め何度もご一緒させていただきました。コワモテなお芝居に反して若手キャスト・スタッフにもリスペクトを持って接してくれる方でした。
スコティッシュフォールドの子猫「鬼塚トラ」はこの出会いによって、クランクアップ後「大杉家」に引き取られ「大杉寅子」という新しい家族の一員になりました。
その後何度か漣さんとご一緒するたび「大きくなった寅子見る?」と快く写真フォルダを見せて下さいました!
一度、大杉漣さんのブログに「照明家○○」として載せて下さいました。照明技師3年目の僕はこの時から覚悟のようなものを持ったように思います。
映画『ネコナデ』ラストシーン、玄関前佇む「鬼塚太郎と鬼塚トラ」好きなカットです。
『大杉漣』さん 2018年ご逝去 享年66歳
僕の手帳の中には漣さんのマネージャーさんからいただいた「音楽活動中の漣さんの後ろ姿」の写真が今も入っています。 合掌。
2026/7/3のひとこと
【とある映画の話】~ツレヅレな備忘録
第四話 『ネコナデ』① 〔大森美香 監督・2008年公開〕
恥ずかしながらYouTubeで子猫や子犬の動画をよく見ます・・・癒されてます。
昔『ネコナデ』という映画をやりました、「鬼の人事部長と小さな子猫」の物語。
まあ、動画のようにひたすら子猫というわけにはいきません。映画として見せるには・・・
好評な深夜ドラマの映画化です。キャスト・スタッフを一新して呼ばれた撮影照明スタッフは若さゆえか「映画」という言葉に「・・・フィルムで撮ります?」と言ってしまった。
・・・16mmで撮ることになりました。言ってみるもんです!・・・が「低予算と動物とフィルム」この相性の悪い組み合わせが技術パートを苦しめます。
「夜の公園での出会い」のシーン。まだまだ未熟な若手照明技師は、この「出会い」のシーンを印象派の夜の絵画のようなビジュアルカットにしようと公園の街灯に1灯1灯ライトを仕込み、いざ!子猫登場‼
冬の夜、地面は冷たく底冷えする寒さの中、耳の折れたスコティッシュフォールドの子猫が鬼の人事部長 鬼塚太郎の足元にチョコチョコ・・・。
見つめるスタッフたちはソワソワ、「鬼塚太郎」こと大杉漣さんの優しい眼差し!
この小さな出会いがその後の奇跡のお話へと続くのです。
映画『ネコナデ』予告編
2026/6/30のひとこと
【とある映画の話】~ツレヅレな備忘録
第三話 『桐島、部活やめるってよ』③ 〔吉田大八 監督・2012年公開〕
薄暮。云わゆる「マジックアワー」と呼ばれる時間があります。
この時間の撮影は大変です。僅か20~30分で日が沈み、やがて夜となっていきます。がんばっても3~4カットしか撮れません。
『バーニング』【イ・チャンドン 監督・2019年日本公開】で印象的な薄暮のシーンがあります、噂では一週間かけて撮ったとか!
名作『天国の日々』【テレンス・マリック 監督・1983年日本公開】などは「マジックアワー」だらけ‼奇跡の映画です。
撮影にあたって事前にリハーサルとカット割りをお願いして、それを参考にして屋上のシーンを三つのブロックに分けた。
⑴昼間(全員集合)シーンは日が安定する9:30~15:00ぐらいまで
⑵夕方(事後去っていく人々)シーンは15:30~16:30ぐらい
⑶薄暮(前田とヒロキ)シーンは17:00~17:30(夜になるまで)
三日間(だったような・・・)かけて撮影しました。毎日晴れて良かった!冬の澄み渡る夕暮れの中、スタッフは真摯に祈るように「前田とヒロキ」を見つめていました・・・・。
さて、「ゾンビ」の話をもう一つ!撮影最終日!憑き物が取れた吉田監督とスタッフたちは「生徒会・オブ・ザ・デッド」をただの映画好きに戻ってワイワイ・キャッキャ・ワチャワチャ・・・映画部集合‼・・と楽しみましたとさ‼
2026/6/26のひとこと
【とある映画の話】~ツレヅレな備忘録
第三話 『桐島、部活やめるってよ』② 〔吉田大八 監督・2012年公開〕
この映画のシナリオは特徴的な技法が使われています。
映画の中で何度も「同じ時間」「同じ金曜日」が登場します、「あの時実は~」「一方その頃」ってことです。そう、何日もかけて「金曜日」を撮影します、「同じ天気」「同じ陽射し」・・・照明部としては・・・途方に暮れます。
いろんな学校で撮影してきました・・・実は今回の学校、少し違和感を感じていました。
東と南には山がそそり立ち、北にグランド、そして西に街が開けてました。「・・・。‼」
この映画のルックを決める時、ラストの屋上が大事だと考えてました。「夕暮れの色に染まる屋上」そこを印象づけるには逆説的にY.OR色をセーブしよう・・・校舎は日陰がいい。
ヒエラルキーが裏テーマ、「ザ!青春映画」よりは居心地の悪い空間・・・。何か理想的な環境⁉
強豪運動部の体育館では陽射しを作り、体育館地下の映画部は薄暗く・・・。
実は現役高校(生きている学校)での撮影![※廃校だと美術部が大変‼]もちろん離れてはいますがリアルに授業してます。だからチャイム鳴ります!その度スタッフは一喜一憂するのでした。
映画『桐島、部活やめるってよ』予告編
2026/6/24のひとこと
【とある映画の話】~ツレヅレな備忘録
第三話 『桐島、部活やめるってよ』① 〔吉田大八 監督・2012年公開〕
これはあくまでも主観的な独り言である。
とある俳優の主演映画をやった。彼女とは4度目のお仕事である。
今思うと『桐島、部活~』は引きの強い映画のようだ。この映画に集った若き俳優たちは、その後いろんな作品でお見かけしたり、ご一緒したりする。
時は2011年・・・「あの震災」の半年後、スタッフたちは撮影で貸してくれる学校探しに苦戦していた。関東近郊の学校は被災された人々の受け入れで大変な時期、映画なんて「不要」と呼ばれていた・・・。そんなある日、高知県から「協力しますよ」ってお話が!
とにかくスタッフは導かれるように高知へ飛んだ‼
この映画、高知の話ではない。だから土佐弁NG!デメリットはあるがそれ以上に魅力的な高校を紹介してくれた。小高い丘に建つ学校、凄く立体的でそれでいて屋上と「ヒロキたちのたまり場」との立地の良さ‼この複雑さが・・・なんか良いのだ‼
吉田監督と吉田組スタッフは前作『パーマネント野ばら』からの再びの高知!照明部にも高知出身者が2人!若き俳優部と悲しき労働者(スタッフ)は巨大観光バスで南国土佐へ引き寄せられていった。
映画『桐島、部活やめるってよ』特報
2026/6/22のひとこと
【とある映画の話】~ツレヅレな備忘録
第二話 『武曲MUKOKU』② 〔熊切和嘉 監督・2017年公開〕
この映画には指標とした映画の世界がある。
三隈研次監督『剣三部作【斬る(1962)・剣(1964)・剣鬼(1965)】』
剣の道に取り憑かれ、そして破滅へいざなわれる男たちの話。
この当時の大映映画、「キレッキレ」の映像美‼僕ら技術屋にとって襟を正さざるえないほどのクオリティ‼・・・そうなんです、作り手の姿勢とは機材ではなく技巧なんだと気づかされます。
現代劇で剣(竹刀)で闘う男たち。リアリティを意識しつつフィクションの面白さとは・・・
胸躍る「嵐の中の死闘‼」スタッフ・キャストは雨降らしとジェットファンによる暴風の中、アドレナリンによる高揚と熱狂・・・そらぁ「紫の雨(パープルレイン⁉)」降らせますよ~‼
・・・・・。熱が冷めた現在もこの映画を見ると「暴風雨の夜」の臭いを思い出します。
2026/6/19のひとこと
【とある映画の話】~ツレヅレな備忘録
第二話 『武曲MUKOKU』① 〔熊切和嘉 監督・2017年公開〕
「ジョルジュ・ルオー」という画家の作品を見た。
彼の絵画は原色の絵具を何層も重ねていく、すると絵自体も立体的になり色彩的にも深さがでる。それは大胆であり繊細な心象を内包しているようだ。
ふと映画『武曲MUKOKU』を思い出した。
デジタル時代になったことで「失われた表現」と「面白い表現」ができることに気づいた。
昔のフィルムタイプの特性を何層か重ねてみて独特のフィルムLUTを作ることができた。モノクロ映画のように情報を制限しつつ原色の色味をどこか感じるくすんだ世界。
死に囚われた「研吾と融」の生への渇望!現場では「どの色を伸ばして、どの色を沈めるか」を認識して三原色を意識して撮影した。
熊切監督の「いいですねぇ」で熱気を帯びる俳優部とスタッフ。古都・鎌倉で繰り広げられる死闘‼・・・そして照明技師は取りつかれたように「紫の雨」を降らせるのであった。
映画『武曲MUKOKU』予告編
2026/6/17のひとこと
【とある映画の話】~ツレヅレな備忘録
第一話 『ソラニン』② 〔三木孝浩 監督・2010年公開〕
漫画原作の映画化。現在もいろいろ問題を抱える話です。
作画の上手さも相まってイメージする街がある。原作ファン(自身も)の思いを失望させないようにロケハンで確認し、制作部の交渉の頑張りで「あの地区」で撮影できた。
(こっそり)内緒にしても仕方ないので言いますが・・・「部屋はセット」です。
「社会人二年目の同棲生活」厳しくもささやかに生きる二人暮らし、都合の悪い光を存在させ、心象に合わせてフィルムの柔らかさを理解しつつ暗部を意識して作ることで『芽衣子と種田』の世界になったと思います。
好きなシーンがあります、夜の河川敷の橋を芽衣子とビリーの自転車2人乗りのシーン。
今ならコンプラ的に・・・。三木監督「ワンカット並走でお願いします」「・・・。」
まあ、やれることはやろう!ライトを橋に仕込み、カメラ車に仕込み、いざ本番!
祈るように見つめる中、2人の後方に鉄橋を渡る電車の光‼ビリーの嗚咽‼
「やったー!映画の神様ありがとう‼」・・・もちろんスクリーンの前で泣きましたとさ。
2026/6/15のひとこと
【とある映画の話】~ツレヅレな備忘録
第一話 『ソラニン』① 〔三木孝浩 監督・2010年公開〕
よくYouTubeに映画『ソラニン』のライブシーンが現れる。まあ、アルゴリズムってヤツでしょうか。もちろんポチっと見てしまう。
このライブシーンのことは良く覚えている。実際のライブハウスで映画のクライマックスをどう盛り上げるか!・・・エモーショナル‼・・・。ただ、シーンの設定は「街の片隅の小さなライブハウス。社会人になってもたまに音楽を続けている大人たちのささやかな高揚」
撮影としては「前曲の終わりからソラニンの演奏へ」。俳優部が言う「ぜひ前曲の最初から演奏させて下さい、その流れで最後までやらせてください」「・・・。」三木監督「では、2曲続けて最後までよろしくお願いします」「・・・。」覚悟を決めました。各部署がテキパキと動き、照明部は2曲分のライブ照明を考え準備するのであった。
派手にならないように単色にこだわり、かと言ってヒロインに感情移入できる光。熱気と緊張の混在したライブシーン‼
まあ、是非是非‼
映画『ソラニン』予告編
2026/6/12のひとこと
「飲みにケーション」という言葉がある。
「飲みの席で仕事の話するなよ~」とか言われたりするが、映画青年には「特等席」になることがある。
この間、とある映画のささやかな打上げをした。その時、録音技師の浦田和治さんがドキュメンタリー映画『東京裁判』【1983年公開・小林正樹監督】の話をしてくれた。
この映画の音の構成を「このカットに敢えてこの曲を入れてみた」「この時、数秒無音したんだ」とたくさん話をしてくれました。
昨日、改めて見直してみて「なるほど!」と一層映画にのめり込んだ‼ 膨大な映像資料を「どう繋ぎ」「どう聞かせ、そして聞かさないか!」 映画では音も、そして光も演出があるのです。
友人に言われました「映画好きは、みんな映画の話が聞きたいし話したいんだよ」。
僕も助手時代も含め100本ぐらい映画に携わっている。
たまにつぶやいてみよう・・・徒然なるままに・・・
2026/6/10のひとこと
先日、『チュルリョーニス展』へ行ってきた。
チュル…リョ…Φ△%・・・。もごもごして上手く言えない。
リトアニアの画家である。地政学的に複雑な環境で描いた彼の絵画は幻想的で物語を感じる。何故かずっと見ていられるんだ。とある小説で感じた「世界の終わりの風景」や街灯の無い星の瞬く夜空の「記憶の色」がそこにあった。小説の挿し絵の様なこの絵画たちには、風や匂い、そして音を感じる。
120年前、まだ映画は黎明期で模索の中、絵画の世界は印象派の登場が示すように光とイマジネーションが自由にあふれていた。
現代は情報過多で説明し過ぎるコンテンツが多い中、このぐらい受け手に委ねてくれる方が心地いい。何かいい出会いをしたようだ‼
2026/6/1のひとこと
とある映画の学校を卒業して30年以上経つ。
その時の友人たちとはたまに会っている。もちろんこの業種の人間もいれば、整体師・タクシードライバー・コンビニ店長など様々だ。
ただ当時のノリと空気感は大相撲観戦・プロレス観戦・野球観戦などイベントがあるたびに集まってはワチャワチャ‼
たまに考えてしまう・・・同じスタートラインにいたがいろんな選択を経て様々な人生を歩んだものだ。タクシードライバーの彼などは休日にはパントマイムでボランティア活動をしている。
10年ほど前、亡くなった仲間がいた。それをきっかけに同窓会をやった。学生時代のノリでリングを作りプロレスもやった、50前後のオジサンたちがロープに飛んだりとワチャワチャ‼ 失笑と歓喜の世界⁉ 亡くなった仲間のために『10カウントゴング』で送った。
その時から「おい!クズども!いなくなったら10カウントで送ってやる‼」が合言葉。
葬儀場で『10カウントゴング』。なんと僕ららしい終わり方。
『さよならだけが人生だ』である。
2026/5/26のひとこと
【はじめに光あり】~追憶の去りし人
第8回 『鈴木静』さん
久しぶり見た井筒和幸監督『のど自慢』である方を見つけてしまった。
鈴木静さん。のど自慢大会の参加者の一人・・・歌う・・・おじさんです。
いわゆる内トラ出演の照明部さん。監督に気に入られての出演です。そうなんです。鈴木さんはとても愛されキャラ(おじさん)なんです。
数々の失敗談を周りの先輩たちはよく話して盛り上がります。「正月の街をパンツ一丁でさぁ~」「ロシアの缶詰をさぁ~」とか、楽しそうに話す先輩たち、飄々と聞いている鈴木さん。照明部の失敗談は武勇伝となるのです。羨望の目で聞いている僕がいました。
2013年に亡くなられました。享年49。もう鈴木さんの年齢をとっくに越してしまいました。
僕の小さな画面の中でねじり鉢巻きの歌うおじさん。
鈴木さん「うぇ~♪♪」
2026/5/19のひとこと
たまに「ライティングのイメージってどこから来るんですか?」って聞かれたりします。
もちろん「○○映画のあのシーン」とか答えたりします。・・・・でも実は絵画の方が多いのです。「マネの茶褐色の黒」とか「セザンヌの暗部の緑色」とかである。
ちょうど今、魅力ある画家たちの特集展示をやっている。
『クロード・モネ展』『ウジェーヌ・ブーダン展』『大ゴッホ展』『アンドリュー・ワイエス展』など!
「モネの一瞬」「ブーダンの空の青」「ゴッホの黄色」「ワイエスの寂寥感」である。
この機会にご確認を‼
2026/5/13のひとこと
【はじめに光あり】~追憶の去りし人
第7回 『森下信也』さん
異名といいますか、別名といいますか、「通称○○」と呼ばれる方がいます。
「鬼の○○」「悪魔の○○」。そう、森下さんは「仏の森下」と呼ばれてました。まあ、周りに鬼と悪魔がいたからですが・・・
とにかく優しい先輩だった記憶があります。まだまだハラスメント・労働時間無視の時代。
とても厳しい諸先輩方の中でおそらく一番優しかった先輩、森下さん。少し破綻した人々の中で比較的?常識人・森下さん。
ある時期より故郷の飛騨市へと戻られてました・・・2023年、訃報が耳に入りました。享年62。
時折思い出します・・・まあ、近くの悪魔が寂しがっているからでしょうか・・・
森下さん「元気だせぇー!」
2026/5/8のひとこと
【はじめに光あり】~追憶の去りし人
第6回 『松本憲人』さん
昨年夏にとある映画学校の一つ下の後輩の女性が亡くなっていた。『プロデューサー 中林千賀子』享年53。
そんな彼女の同級生でもある照明部の後輩・・・『松本憲人』も2020年に亡くなっていた。享年51。
ご時世がら内々の家族葬の形なので後から風の噂で知ることが多いこの業界。この二人のことは学生時代から知っていた。一年早く現場に出たがゆえに「せんぱ~い!」などと呼ぶ可愛くない?後輩たち。
まあ、「松ちゃん」「マツぅー」といろんな先輩たちに可愛がられたヤツでした。※後輩にはキビシイ先輩のようでしたが。
松ちゃんは照明技師として『共喰い』『くちびるに歌を』『窮鼠はチーズの夢を見る』など良い作品を残している。
松ちゃんとの思い出は・・・現場ではなく泥のように酔いつぶれている姿。
そんな同期の松本を母親のように介抱し・・・そして捨てて帰る中林。学生時代から変わらぬ関係!
そんな二人ともう少し飲みたかった・・・。「なあ、松ちゃん!中林!」
松ちゃん・中林「ㇷ゚ㇷ゚ㇷ゚ㇷ゚(陽気な笑い声)」
2026/4/30のひとこと
【はじめに光あり】~追憶の去りし人
第5回 『安藤和也』さん
照明部にとって良い現場とは、助手たちがのびのびと率先して光を作っていく現場だと思います。そういう現場にはチーフという強い柱の存在が大事です。
チーフ時代の安藤さんはセカンド以下の助手たちが「あ~しときました」「こうしません?」など自由にライトを触って照明技師と助手との良きパイプとなって『鵜飼』の様に助手たちをコントロール‼一番下(シックス)であってもライトが触れるのは嬉しいことです。
ただこの安藤さん・・・お酒に関する失敗談は数知れず!まあ、それが愛される理由でもあります。
照明技師としては『シャブ極道』という傑作もありますが、実は東映の特撮研究所における数々の特撮照明‼日本の子供たちのほとんどが見たであろう戦隊ロボのシーンは安藤さんの仕事の結晶です。まさに記憶に残る仕事です。
お酒に酔いつぶれた安藤さんをよく思い出します。しかしそれは実に愛しい思い出・・・
安藤さん「(お酒に酔いつぶれて)・・・スマン。」
2026/4/24のひとこと
【はじめに光あり】~追憶の去りし人
第4回 『渡辺三雄』さん
僕ら世代にとって角川映画や『松田優作』は少年時代の幻影です。
そんな映画少年が最初に覚えたスタッフクレジット『撮影 仙元誠三』。その仙元さんの良きパートナーの一人、照明技師の渡辺三雄さん。
僕は三雄さんとは『大夜逃 夜逃げ屋本舗3』から映画やVシネなど何度もご一緒させていただきました。(※この当時、照明技師の渡辺さんは三人いましたので「三雄さん」と呼んでました)
撮影現場は「生もの」とよく言われます。いわゆる鮮度があるのです。バジェットのある中で「どこにライト」を置いて「どのくらいの時間」で撮影に導くか!タイミングが大事なんです。三雄さんは僅かに残る福島弁イントネーションとシャキシャキ動く姿で的確に指示を出して「ここしかないだろう」と思える場所にライトを配置していきます。照明部の現場の有り様を教わったように思います。
村川透・工藤栄一・深作欣二などの「カッコいい」映画には仙元誠三さん渡辺三雄さんの名前を見つけることができます。
線路のレールを赤と緑で光らせる‼凄くカッコいいのです‼自身も技師になって「カッコいい」光を求められるときがあります。そんな時聞こえてくる声があります。
三雄さん「フっジイぃ(※福島弁イントネーション)、大丈夫かぁ‼」
2026/4/22のひとこと
【はじめに光あり】~追憶の去りし人
第3回 『海野義雄』さん
映画照明が面白く感じ始めた28歳の頃・・・『梟の城』という映画で照明技師の海野義雄さんとご一緒させてもらった。
一映画少年としては『ドグラ・マグラ』『さらば箱舟』というカルト映画(?)のことは気になっていました。海野さんはその照明技師さん!夢幻ワールド!!
90年代の照明はナチュラルライティングが好まれた時代。しかし海野さんの照明は、実験的・舞台的岩波センス!!丁寧さとは無縁な力技⁉
相馬・京都・彦根・姫路・福山と全国を巡りながら・・・実は毎日わくわくしてました。
物腰柔らかな海野さん・アグレッシブな撮影の鈴木達夫さん。岩波映画やATGなど日本映画の実験性を支えたお二人。
この時歴史的貴重な時間を目撃した!撮影現場に車イスで現れたレジェンドカメラマン『宮川一夫』さんが35mmカメラのファインダーを覗かせてもらい涙する姿・・・やさしく見つめる鈴木さん・海野さん・篠田正治監督・そして映画人たち・・・。
助手の意見を拾って現場を進めていく微笑みの海野さん。やわらかい言葉で囁きます。
海野さん「いいよ、いいよ。」
2026/4/20のひとこと
今年初め三島有紀子監督作品に参加させてもらった。
そのご縁で昨日の『三島有紀子監督特集上映』に行ってきた。一人の監督の作品をまとめて見ていくとその監督の背骨(支柱)のようなものが見えてきたりする。
一つわかったことがある。『インペリアル 大阪堂島出入橋』という短編映画がある。15分の映画の中で12分に及ぶ長回しワンカットがある。映画的奇跡がそこに宿っていた・・・。
確信した!三島有紀子監督は「映画の神様」に愛されていると!!
2026/4/17のひとこと
【はじめに光あり】~追憶の去りし人
第2回 『梅谷茂』さん
24歳の時『人間の翼 最後のキャッチボール』という映画に呼んでいただいた。
照明技師は梅谷茂さん。僕ら世代にとって「海は死にま~すか」で有名な『二百三高地』はテレビCMで忘れられない映画!まさしくその照明技師さん。
24歳時の撮影現場のことは・・・まあ、あんまり覚えてませんが梅谷さんの印象は気っぷのいい方で「おい!」「どうなんだ!」そんな掛け声を思い出す。※悪い印象ではありません
ただその後『敦煌』『麻雀放浪記』『悪魔が来りて笛を吹く』など梅谷さんの映画を見る度に気持ちがいいくらい奥まで光を作っている。奥行き!まさに「映画はヌケ」である。
『人間の翼~』は弊社照太郎にとって起点となる作品です。この時の照明部3人が発起人でもあります。照太郎ももうすぐ17年・・・ふとした時に聞こえてくる声があります。
梅谷さん「おい!どうなんだ!」※もちろん激励である。
2026/4/16のひとこと
【はじめに光あり】~追憶の去りし人
第1回 『熊谷秀夫』さん
長谷川和彦監督が亡くなられて二ヶ月が経った。やはりこの方のことを語ろうと思う。
熊谷秀夫さん。長谷川和彦・相米慎二に慕われた照明技師。
「照明熊谷学校」と呼ばれるくらい多くの方に慕われ影響を与えた方。
「あれは大変だった」「このシーンはさぁ~」苦労話を楽しそうに話す先輩たち、まさに羨望と畏怖の熊谷さん。私も『燃ゆるとき』『さくらん』でご一緒できた。
口癖は「微妙ですよ、微妙ですよ」「ゆるしませんよ、ゆるしませんよ~」灯入れ一つにも「それは何の光だぁ?行灯かぁ?」答えが一つでないことを面白がって作っていく姿勢がとても大変で、とても・・・楽しかった。
自身も技師になってみて映画の現場で奇跡を待つ時がある。そんな時ふと熊谷さんの楽しそうな顔を思い出す。
熊谷さん「(ささやき声)はぁ、キレイだなぁ」
2026/4/9のひとこと
本日よりDMMドラマ「外道の歌season2」が配信されました。
「season2」より合流した撮影照明チームは監督・プロデューサー陣よりあるミッションを授かりました・・・「外連(ケレン)味が欲しい」・・・と。
「season1」の画は現実世界と地続きな感じのリアルな画作り。今回は物語が動き出し、新たなキャラクターも登場し、よりシーンに合わせた心象的な画作りをとのこと・・・。
まあ、より「カッコ良く・美しく・妖しく・恐ろしく」である。
・・・ご確認ください。
2026/4/3のひとこと
先日、とある企業の「夏」CMをやらせてもらった。
まだ寒風吹きすさぶ夜、薄い夏服の俳優さん!! 厚着している僕らスタッフは申し訳なく思いつつも「では宜しくお願いします」と鬼のような対応・・・。
夏の暑い時期には「冬」CM。モコモコした服装で鍋などつついている・・・
俳優・タレントさんは大変だなぁと思う今日この頃です。
2026/4/1のひとこと
優しい映画が出来ました!
昨日「平行と垂直」の初号試写があり、これをもって完成となります。
主演の安田章大さん・のんさんの人柄はもちろん監督の小林聖太郎さんの優しい眼差しがスローライフで生きる登場人物たちの世界を心地良い映画にしてます。
世界が激動へと流れていく中でこんな「優しい映画」がみんなに届くように祈るばかりです。8月28日公開です。
2026/3/25のひとこと
弊社の参加した「テミスの不確かな法廷」が評判がいい!嬉しいことだ。
昨今のマイノリティーと呼ばれてしまう個性という名の特性、どう社会が接していくか、同じく弊社が参加した「平行と垂直」もそんな現代の課題を物語としている。言葉足らずの登場人物たちのコミュニケーションから生じる誤解とストレス、決して他人事ではない課題だと思う今日この頃です。
